2012年6月11日月曜日

テレビ番組二題、プラス

こんにちは。千葉です。

昨日、ひとつコンサートに伺って参りましたのでその感想も書きたいところですが、まず先に昨日告知したテレビの話、あともう一つのテレビ番組の話を。Eテレのアレじゃないですよ(笑)。

まずは先日紹介した日本フィルの番組。というか正確に書きましょう、番組内容は以下のとおり。

「未来へのおくりもの ~スペシャル~」 

2012年6月9日(土) 夜10:00~10:54 放送予定 BS-TBS(BSデジタル6ch)

●音楽で人々に笑顔を「日本フィルハーモニー交響楽団」

日本を代表するオーケストラ集団、日本フィルハーモニー交響楽団。主催する演奏会は、年間およそ150回。来場者数は、のべ5万人以上。
今回は東京で行われた定期公演会のリハーサルから本番まで完全密着!首席指揮者ラザレフの音楽に対する想い、そして楽団員の知られざる苦悩が。

また、日本フィルではオーケストラ・コンサートのほかに、エデュケーション・プログラムとリージョナル・アクティビティ(地域活動)という活動を実施。
そこには、楽団として社会に貢献できることを追求し、音楽を通じてより豊かな世の中を創りたいという大きな思いが!
音楽の持つ力を信じて…、日本フィルからの未来へのおくりものです。

(以上番組公式サイトより引用、一部改行のみ変更しました)



本来30分で一団体×2の一時間番組をまるまる使って日本フィルの活動における三つの軸、「演奏活動」と「教育活動」、そして「地域の中のオーケストラとしての在り方」を紹介したこの番組、なかなかの見応えでした、特に音楽活動、演奏会のリハーサルにインタヴューを絡めて紹介した、アレクサンドル・ラザレフ指揮による2012年5月の定期演奏会の部分が!当然ですね、それ目当てで見たのだから(笑)。



まあ、「一時間に拡大された」とはいえリハーサルも演奏もそのありようを伝えるためには否応なく時間がかかります、演奏時間は削れませんからね。なので、リハーサルの面白さの片鱗が見えたくらいなんだと思うんです、率直に言って。噂に聞いていたとおり、一秒も時間をムダにしないリハーサルでしたがそれは同時に規定の時間以上には団員を拘束しない、プロとしての相互尊敬のあるものであったことがわかったり、ポッドキャストでも話されていたトロンボーン首席の藤原さんが「かわいがり」を受けているところが見られたり、ということはありました。でもリハーサルで本当に面白いのは音が変わっていく過程でしょう?その辺りはさすがにこの時間の制約ではなかなか、伝わりにくいところであります。ようやく噂のリハーサルを拝見できた喜ばしさと、「もっと面白いところも撮ってるんですよね?見たいなあ」という隔靴掻痒感とのせめぎあいがですね、個人的には否めないものでもありました(笑)。でも一見の価値、ありますからご覧になれなかった方はぜひ、スポンサー様のサイトで近日配信開始されるのをお待ちいただいて。小一時間を使うだけの価値は間違いなくある番組でした、日本フィルのホームである杉並の皆さん、こんないいオーケストラなのでぜひ、もっとかわいがってあげてくださいね!(個人的には相撲的な意味含めたかわいがりでいいと思う)


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あのう、これはかってな想像なのですけれど。日本フィルを三軸で紹介するのは既定だったんだろうと思います、でもそれが一時間枠に広がって、中でも演奏会の部分に約半分を充てることになったのは、番組制作スタッフの皆さんがリハーサルから演奏会へ、というドラマに魅せられたからなんじゃないのかなあ、なんて。


もしこの愉快な想像が本当だったら、ぜひ同じスタッフさんで<「リハーサル(できるだけ長い収録時間)」+少々のインタヴュー、そして「演奏会当日の映像」>でガンガン収録してくださらないかしら、自主制作盤としてリリースしてもいいと思うんだけどな、昔のシュトゥットガルト放送が残したクライバーやチェリのような、とまでは言わないけれど貴重な映像のようになると思うのだけれど。今ならラザレフ&日本フィル、スダーン&東響、インバル&都響にカンブルラン&読響などなど実力派のマエストロたちのポストにある(=責任ある立場でオーケストラとつきあっている)状態でのいい仕事が、ほとんど都内で収録できるんですよ…


あ、日本人マエストロたちの仕事も残すべきだと思ってますよ、もちろん。渡邉暁雄先生や岩城宏之さん他のお仕事がそういう形で遺されて来なかったことを、公共放送さんや母と子のフジテレビさんは反省すべきです。ちゃんと放送局に関わるところにあったオーケストラで多く仕事をした、間違いなく力のあるマエストロたちだったのに。もう。


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すみません!脱線が過ぎました、すみません!(と言うほどは反省の素振りが見えない)もう一つの番組は、アレじゃなくてこちら。


題名のない音楽会21
ブラス・エンタテイメント~中高生に大人気!吹奏楽ヒットソング~

市音取り潰し問題をきっかけにして何周もの周回遅れから少しずつ吹奏楽方面のリハビリをしている千葉ですが、実はエンタテインメント方面での吹奏楽は、はっきり申し上げて苦手です。だって、テューバの楽譜なんてデカイ音を出させられる割にコードをつつがなく進行させるかエレキベースの書き換えでしかないじゃない!指揮者のすることなんてほとんどないじゃない!(これはあまり本当じゃないけど、志向するものの違いということでご容赦のほど)といういささか身勝手な理由から(笑)。

ならスルーしなさいよ自分、とも思うのだけれど、前から気にしていた「平清盛」テーマ曲の吹奏楽版を早う!という希望は既に叶えられている由、Twitter情報で知りましたために、見たのです。

目当ての曲は、ある程度は予想通り、吹奏楽映えしそうなので一安心でした。テンポが相当に速いけれど二つ振りではなく四拍子で指揮していたのはあれ、何かの指示でしょうかね、流れの速さではなくてビート感ある疾走感がほしい、とか。ああそうそう、全国の吹奏楽関係の皆様、昨日の放送のあとでは悪寒さえ感じさせられてしまいかねない曲の最後「あそびをせんとや~」のくだり、作曲者の「仮歌」は初音ミクだったそうなので、実際の演奏でも使っちゃっていいんじゃないっすかね。TWSOが使うとは思っていませんでしたから、昨日の放送についてどうこう、ではありません(どちらかというと優等生的なところ、ありますよね。模範演奏、とか言ってしまいたくなる感じの)。言葉が最後に登場することであの曲は終わることができるように思えますので、手段のある方はぜひお試しください(もうとっくにやられてるのかもしれない、周回遅れの妄言の可能性は理解しつつ言っておきます)。

ということで本筋は楽しめたんですよ(最後の一曲、二分半が本筋かい!)。だけれど、ポップスも応援も正直ゴメンだなあ、と今さら自分の苦手意識を再認識です。
ポップスは上述の通り、あとヴォーカル抜きで歌ものをやることに違和感があったり、いろいろとあるんですけど。シンフォニックな書き方をされているサントラとかはまだ、いいんですけどね…(実は今頃になって「E.T.」のテーマとか演奏してみたい、あの自転車チェイスの場面の浮遊感を音にしてみたい)
あと応援。これはねえ、自分は野球でもサッカーでも、モータスポーツでも鳴り物の応援がそんなに好きじゃないんです。見方ぐらい自分に決めさせてほしい、と言いますか。チャンスで畳み掛けるような応援には乗りますよ、でものべつ幕なし歌い続けるのは、どうも。高校時代にも吹奏楽応援なんてなかったからなあ、うちの学校(旧制の流れを汲む、いわゆるバンカラ学校でありました)。

という個人的な好悪もありつつ。吹奏楽の、いわゆる「藝術」よりの作品には、こういう機会に紹介していただかないと存在すら知ってもらえない危険があるけれど、ポップスとか応援ならかなりの頻度で聴けるのでは。それこそ春夏の高校野球でも見れば、いわゆる吹奏楽名門校の堂々たる応援が聴けますよ?

まあ、そういう未知のものをお知らせする番組じゃないことはわかっているのでもういいんですけど。こういっては申し訳ないけれど、一度さらっと流して見ておしまいになるような作りですものね。先日の髭男爵&彌勒忠史他による愉快なイタリアンバロックで少し見なおしていたところだったのだけれど、まあ根本的にはそのくらいのところで。仕方ない、目的が違うんだから。

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こう書いてきてやっぱり思うんですよ、公共放送は何をやっている?と。N響アワーが終わったことはもういい、でも代替となる後番組があれで、月一放送の「オーケストラの森」はおそらく今日の本題その一である「未来へのおくりもの」に劣るダイジェストのダイジェストでしかない。オーケストラ紹介部分入れてメインプログラムを一時間の枠で放送したらそうもなりますよね。なんだかな。
放送局としての力量はあるのでしょうに(でなければ海外の演奏会映像の最後にクレジットされませんわね、普通)、どうしてこんなことになるのか。映像作家的な方が居らっしゃらないの?それとも軽く物事の表面を撫でる番組を作るのが皆さまの公共放送の使命なの?なんかねえ、いい加減考えたほうがいいと思うんですけど。

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あれっ。何故かすごく不機嫌に本題が終わってしまいました(笑)。変だなあ(棒読)。事ほど左様に広義のクラシック音楽とテレビ文化はなじみ難い、のかしらね。

なお。ここまで読んで下さった方の中で、きっと千葉の物言いに「文句をいうなら見るなよ」って思う人も多いんでしょうけど、それやってるとどんどんと細っていくだけですよ、クラシック音楽の側もテレビの側も。クラシック音楽はテレビになじまないからさようなら、では今なお十分すぎる力のある告知媒体を失ってしまう、それは広く世間様に知っていただく機会を失い蛸壺化を進めるだけになる。テレビの側はテレビ用に作り変えられない「テレビに合わないもの」を切り捨てていけば否応なく定向進化の先に残念な結末を迎えるでしょう。いや最近はあまり見てないからもう定向進化極まって、口から長いながーい牙が生えているのかもしれません。ちょっと怖くて(笑)がつけられません。

昨晩放送された番組の中でもう一つ、興味深いものがあった、というのを最後にちょっとだけ。その番組は日曜洋画劇場の「インセプション」。ご覧になった方は御存知の通り、後半で入れ子になった夢の階層を画面左上のテロップで「第1階層」「第2階層」「第3階層」「虚無」としてインディケーションしていたんですよね。もちろん、真面目に見ていればその場面ごとに場所や衣装で今がどの階層の映像かはわかるように作られています(消せない妻のイメージに撹乱されるものではあるにせよ)。でもCMを挟んで放送するテレビではそういう視聴を強制することはできない、でもこの映画はちょっと見ればわかる映像の面白さだけにとどまるんじゃなくて、その構造をわかってもらえたらもっとその面白さが伝わるはず。そんな放送サイドの想いが嬉しく思えるような、いい映画放送だったので地デジ画質での見え方確認にちょっと見たら他のことをするつもりだったのに、ついラストまで見ちゃいましたよ。あの引きもまた、いやらしい(褒め言葉)いい映画でしたね。「ダークナイト」も見ちゃうのかなあ、自分…(笑)

余談で機嫌が良くなったところでおしまいにします。ではまた。




そう、今の日本に「バーンスタイン」はいないんですよ、だからモノマネじゃなくて自分たちの持っているいいものを伝えましょうよう。と思うのですが如何。

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